乙女バイアス

認知バイアスという言葉があります。

ある事実をAさんとBさんが見た場合、AさんとBさんが違った評価をすることがあります、どうしてか、ということを探っていくと、AさんとBさんはそれぞれ自分の見た事実を頭で認知する際に、その認知をゆがめる眼鏡をかけているということがあり、この眼鏡のことを認知バイアスと呼びます。(この眼鏡はAさんBさんが意識的にそうしていたり本人たちにも気づいていない無意識的なものであったりします。)

で、私にも認知バイアスというものがあるのですが、私自身が一番気持ち悪くて受け入れがたいものに「乙女バイアス」があります。少女漫画ドリーム眼鏡です。

もう、この眼鏡は優れもので、この眼鏡で認知した世界は、「みんなが(私にとって)とりぷるはっぴー! すべてのものは純粋無垢! 乙女の愛の世界に痛みはない! 臓物の臭いのする醜いものなんて、どこにもないのよ★ 」となり、「あらゆるものが運命! これこそ私の運命!」と 超盛り上がります。

身近な例では、いまの会社に就職してここの会社で「え、わたし、実は憧れだったバリキャリ女子になっちゃうの? バリキャリ女子に変身して、困っている人たちを助けちゃう? 素敵な人達に囲まれて花咲いちゃう?」と思ったときですね。バリキャリ女子に変身もたいがいですが、後半の「素敵な人に囲まれて花咲く」っていうのが最も頭が狂ってる感じですね。

あとは最近人から、私への評価としていただいた「ピュア」というお言葉。「ビュア」て!!ほめていただいている(とおもう)のに、この気持ち悪さってなに?

この乙女バイアス、不安な場所に飛び込もうとするときには有効なのですが、困ったことに、現実的には、この世は打算と臓物の生臭さと腐臭のただよう世界でもありますので、「あれ、なんか、お、おかしい……?」と乙女メガネが暴走して狂いだします。暴走しだすと、べったりと人に依存して、その自分に気づいて鳥肌がたったりして、気持ちのアップダウンが激しくなって自分でついていけなくなって倒れます。あと神秘的なもの(はっきり書くと、占い)に気持ちを振り回されたりします。

私、最近、乙女バイアスに疲れたよ……。グロテスクなものから遠ざかりたいと思いながらも一番グロテスクで奇怪なものは、自分の乙女バイアスってどういうことなの……。

グロテスクでもつけていなくちゃいけないものなら、いっそ混ざっている不純物を取り除いて、より磨けばいいのか?と、この記事をつらつら書きながら思いました。