お店のひととお話し

ここ数年、立ち寄ったお店の人とお話しすることが多くなってきたのですが、最近、宝石商の方とお話しすることがありました。

とあるホテルにある高級店の立ち並ぶショッピングモールで1千万円を超える指輪のならんだショーウインドーを見ていたら、「宝石はお好きですか?」とお店の店員さん(紳士)に声をかけられました。普段だったら「た、ただ見てるだけです~」と逃げているところだったのですが、ちょうどその日は自己PR写真というものを撮影にいった帰りで、私はメイクさんに舞台メイク一歩手前かというほどのがっつりメイクしていただいていたので気が大きくなっており、逃げずにそのままお話をさせていただきました(店に並んでいる貴金属が、わたくしの年収をかるーく超えるものばっかりだったので、売りつけられるにも売りつけられよーがないのがわかっていたというのもあります)

紳士は宝石について大変に熱く語ってくださって、「ピジョンブラッド」だの産地による宝石の色の違いだの、「あ、それ、パタリロで読んだことがある!」「あ、4C(カラット・カラー・カット・クラリティ=ダイアモンドの品質基準)って藤本ひとみの小説で読んだ!」とかサブカル知識を呼び起こしながら聞いておりました。

途中で紳士の口から「歩留まり」という言葉が飛び出して、工場勤めのわたくしは「歩留まりぃ?!」と普段私の職場で聞いている言葉がこんな高級店で聞けるとは思わずにびっくりしましたが、生産品だから歩留まり率もそらありますわ。ただ、私の工場で出ている生産ロスとダイヤモンドのカット時に出るダイヤモンドのロスでは、量に対する金額が雲泥の差ですよ。こっちはキロ単位でもダイヤモンドでは単位がミリグラム以下(1カラットのダイヤは200ミリグラム)ですよ。ふお~。

ダイヤモンドの鉱山の話がでて、ダイアモンドというと、デビアス社と南アフリカのダイヤモンド鉱山の過酷労働という知識が思い起こされたのですが(知識元は、シドニィ・シェルダンの小説「ゲームの達人」)最近はロシアとオーストラリアの産出が多くなってきていて、パワーバランスもいろいろ変化しているとのことでした。

鉱石の魅力とか力ってあんまりよく理解できていなかったのですが、鉱山で掘り出された鉱石がその石がもっとも魅力(=パワー)持つ形でカットされて、宝飾品として作り上げられて、その宝飾品のデザインについても、莫大な力を持つ石の場合は、その宝石ありきでデザインが組まれて、センターを飾って、宝飾品の価値が跳ね上がっていくという話を聞くと、石が動かす金銭とか莫大なパワーが想像つくっていうか、理解できるような気がしました。

自分の年収以上のアクアマリンの指輪を触らせていただきました。恐ろしくて指にははめられませんでしたよ。