ガーリー

 

かつて私にピンクを憎んだ時代というものがありました。

ピンクが嫌い青が好きという時代です。小学校にあがる直前あたりから始まり、男の子になりたいと本気で思っていたつもりだったですが、実はそれは尖がろうとしていた表面的な自意識がなした業であり、本当は別に肚の底からそんな風に思っていたわけではありませんでいた。

その私の自意識を引っぺがしたのが、とある手作り雑貨を取り扱った雑貨屋さんです。

以前勤めていた会社は神戸の元町の近くにあり、元町商店街を帰宅途中にプラプラ歩いていた時にそのお店を見つけ、何気なくふらりと立ち寄ったのが最初でした。

お店に満ちた上品なガーリーに私はすぐに虜になりました。

一つ一つ丁寧にディスプレイされた作品はみんな本当にかわいくて、見ているだけでうっとりとして、仕事でささくれだった私の心をふんわりとさせてくれました。手作り雑貨の作家としてだけでなく、バイヤーとしても大変に優秀で、かつとてもお美しい店長さんはお店につまったガーリーそのもので、お買い物に行くお店の店員さんと親しくなるということがまるでなかった私が、初めて親しくなった方でした。

それから手作り雑貨というものにはまり、神戸の栄町や大阪の中崎町を散歩したりしましたが、そのお店以上に好きなお店に出会うことはありませんでした。逆にすべてがそのお店に集約されていることがわかって、あまり他の雑貨屋さんを開拓するということはしなくなりました。

お店は残念ながら私が会社を退職してしばらくして閉店されてしまいましたが、お店で購入した品々や店長さんにあつらえていただいただいたビーズのネックレスは今でも私の宝物です。お店に出会ったから自分の中にあったガーリーへのあこがれも認めることができたので、人生のちょっとした転機でした。服の趣味もちょっと変わったしなぁ。人生の転機って不思議なものですね。

 

 

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あつらえていただいたネックレスです。