黄緑の季節に

黄緑がきれいな季節になりました。若葉の黄緑は太陽の光に透けると本当に輝いてみえて、ひたすら美しいです。通勤途中の車内から窓の外を流れてゆく若葉の色を見て、あー、そういえば、去年山口でみた新緑もすげー綺麗だったなぁと、山口県の山奥の温泉町に一人で旅行にいった時のことを思い出しました。

なんで山口県の温泉町に一人旅したのといいますと、きっかけは「自分の吉方位を知って、それを使ってご機嫌な日々を過ごしましょう」という講座を受講したからです。吉方位というのは、非常に雑にざっくり書きますと、占いの中の一つである方位学の技の一つで、方位学では暦によって各個人の生まれた年や生まれた月とかには九星が割り当てられているという考え方をするのですが(一白水星とか二黒土星とかのあれです)、その考え方では、方位にもおなじ九星が割り当てられています。で、方位にのっかっている星は暦によってぐるぐると運航しており、つまり北に一白水星という星が常に固定でいるわけではなく、ある日には二黒土星だったり、またある日には三碧木星とかするのですが、自分の星と相性いい星がのっかる時期をねらってそののっかった方位に旅行にいって、星の象徴するものを受けとりましょう、というものです。(余談ですが、この方位学とか気学をほんの少し勉強させてもらって、振り回されると有り金財産失うとかものすごく簡単なことだよなぁと今更にわかりました)

さて、せっかく講座を受けたので、使ってみないと面白くないなぁと、旅行を計画しました。計画を立てて、旅館を予約したのですが、ここに及んで、なぜか行くのが恐ろしくなり、キャンセルをしようか迷う、という面白いことがおこりました。遠すぎてつながらないとか、戻ってこれないんじゃないかとかいう恐れに襲われ、自分で決めきれずに、サイコロを振ってくださる方にお願いして「行く」か「行かない」かについての吉凶を見ていただいて、「行く」という選択肢にゴーサインをいただいて、ようやく出発となりました。(占いについては半端に頼るのが一番よくなくて、とことんまで頼るかまったく無視するかどっちかですよとその方に教えていただきました)

このような始まり方だったのですが、行ってみると、結論は、「こだわらず、ただそこであったことを素直に楽しめばいい」ということでした。吉方位旅行にいった時には、その星にまつわるものを意識して見たり食べたりするといいですよと教えていただいたのですが、結局あんまりそれは意識しませんでした。

新幹線つかってそれでも片道6時間近くかかってようやく目指す小さな温泉町に到着しました。若葉の緑の美しかったこと! 山の間を走る単線の電車にのったのですが、その山の緑がみんなつやつや黄緑で、私この緑ずっと忘れへんわ、と思いました。温泉町の裏にある小さな山(丘)にはつつじが咲き乱れていて、丘の上に上ると温泉町が見下ろせて、そのあちこちから湯煙が立ち上り、町がぼんやりとぼやけていました。丘を下りる途中では野生の鹿に出くわしました。「うあ! なんでこんなところに鹿が!」とびびったら、鹿のほうは「うわ! なんでこんなところに人間がいやがる、びびったじゃねーか」という顔をして逃げていきました。泊まった部屋は当時住んでた私のワンルームのお家の部屋よりもずっと大きな部屋ですごくうれしかったり、まーどっかでモーニングでも食べればええわーと甘く考え宿で朝食を予約しなかったばかりに、朝食求めて街を彷徨い歩くはめになり、でも結局どこも開いてなくて、お店が開く11時までの間、お腹がすいてすいて泣きそうになったりとか。あと、宿にあった漫画が私の小学校時代のどストライクの漫画(『有閑倶楽部』と『魔法の砂糖菓子』!)があって、この宿には私と同い年ぐらいの御嬢さんがいて、その御嬢さんがお持ちだった漫画に違いないとか推理してみたりしたとか。

温泉町での宿泊の最終日に腰が痛くなり、路地裏でみつけたマッサージ屋さんにいってみたら、マッサージがとっても気持ちよかったのですが、それ以上に施術していただいた女性に「体のお肉がとっても固い。固い体は固まった考えを生む。体を柔らかくして固いルーチンに入った考え方から抜け出なさい。柔らかい考えが可能性と縁を呼ぶ」というお言葉をいただいて、私、この町にいったい何しに来たんだろうと思ったことが、ちょっと不思議な出来事だったでしょうかね。お水をできるだけたくさん飲みなさいと教えてもらいました。

最後は広島で一泊して帰りました。宮島の鹿は奈良の鹿にある生存競争というかアグレッシブさがなくて、ぽーっとしててかわいかったです。

あ、そういえば、温泉町のお宿のお部屋が「若葉」でなんかすげーうれしかったなぁ。