はてしない物語

ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」を読み終えました。

本の名前は知っていたのですが、読んだことはなく、そしてきちんとした話の内容は知らないままの本だったのですが、阿部秀雄さんの書かれた「『はてしない物語』と癒しの子育て」という記事を読み、この本をものすごく読みたくなり、その日のうちに文庫版の上下巻を購入して読み始めました。

面白かったです。

この本に小・中学生時代に出会っていたらおそらく一日か二日で一気に読んだかと思います。が、いまの私は不思議と一気に読む気にならず、ちょびちょびと通勤途中の電車の中や会社のお昼休みや仕事帰りに立ち寄ったパン屋さんの隅っこのイートインスペースとかで読んでいました。

子供のころ読んでいたらファンタジーにどっぷりつかってアトレーユやバスチアンと一緒に旅した気分になって終わっていたと思うのですが、今の私にとってこの本はなんだか一種のセラピーでした。

上巻はさらさらっと読めたのですが、下巻の旅の過酷さがつらかったです。

バスチアンが、自分の欲すること・望みを追い求めて、なりたいものに変わっているのにもかかわらず、だんだんと自分の身ぐるみをはがされて奥底にたまっていた醜さのようなものをあらわにしてゆく過程がものすごくシビアで、その果てに『ぼうやはそれまで、自分とはちがう、別のものになりたいといつも思ってきましたが、自分を変えようとは思わなかったからです』って、きっついなぁと思いました。

そしてその長い道の果てにアイゥオーラおばさまの家でバスチアンが号泣する場面で、パン屋のイートインスペースで読んでいたにもかかわらず私もぼろぼろ泣いてしまいました。

私自身、意味も分からず時折なにかにものすごく追い立てられている気がして不安で恐ろしいときがあるのですが、アイゥオーラおばさまがバスチアンにいった「心配しなくていいのよ。時間はかかるだけかかるものなの」という言葉を私にもらったものとして大事にしたいです。(いつも、心にアイゥオーラおばさまを!)

自分の節目節目で何度も読み返す本になりそうです。

文体が私の好みだったのが特に幸せでした。